この記事でわかること
- 「教育費=学資保険」という思い込みが、実は大きな機会損失になりうること
- 僕が実際にやっている、長期投資と現金の二本立てで教育費に備える考え方
- 教育費の準備は、いつ始めても「今日が一番早い」ということ
教育費の不安は、7年前の僕の不安でした
結婚して、はじめての子どもを授かったとき。喜びと同じくらい大きかったのが、お金の不安でした。この子を大学まで行かせられるだろうか——。
僕自身、奨学金を借りて、県外の大学を出ました。
実際、数字を見ると不安になるのも当然です。大学4年間の学費は、国公立でも約240〜250万円。私立文系なら約410万円、理系なら約540万円にのぼります(文部科学省の調査等より)。さらに県外で一人暮らしをすれば、生活費が自宅通学より4年間で約300万円多くかかると言われます。
だからこそ思いました。うちは、早くから計画的に備えよう、と。
同じ不安を抱えている先生は、多いのではないでしょうか。しかも近年は教育費のインフレが進んでいます。塾に通うことが当たり前になり、入学金や授業料に加えて塾代までが「教育費」に含まれる時代です。不安になるのは、当然だと思います。
以前の僕:「教育費=学資保険」だと思っていた
7年前の僕は、「教育費の備えといえば学資保険」だと思い込んでいました。各社の学資保険を、調べに調べました。

僕が調べた範囲では、返戻率は高いところでも107%程度。18年ほど預けて、7%増えて返ってくる。当時の僕には、それが魅力的に見えました。「200万円が18年後に214万円ほどになる。増えるんだ」と。
でも、お金を学んだ今なら、すぐに気づきます。18年かけて7%は、年率にすると、ありえないほど低い数字だということに。
あとで計算してみて、愕然としました。18年で7%増は、1年あたりに直すと、年率わずか約0.4%なのです。一方、世界の株式市場は、長期で見ると年6〜8%前後の成長をしてきました(あくまで過去の実績です)。並べてみると、こうなります。

もちろん、学資保険には保障がついているので、その分のコストが含まれています。でも、保障分を差し引いて考えても、この差は埋まりません。「増やす」という一点において、保険がどれほど不向きな道具か——数字を年率に直した瞬間に、景色が変わりました。
転機:長期投資という選択肢を知った
保険を調べるのと並行して、僕はお金の勉強を始めていました。その中で知ったのが、長期投資という考え方です。
たとえば米国の代表的な株価指数(S&P500)は、過去のデータを見ると、15〜20年という長い期間保有した場合、元本割れした例がほとんどありません。そして長期の平均リターンは、先ほどの「年6〜8%前後」と言われる水準です。もちろん、これはあくまで過去の実績であって、将来を保証するものではありません。それでも、僕は気づいてしまいました。
学資保険が18年かけて到達する「+7%」に、長期投資は、平均的な1年で届いてしまう可能性がある。
この比較は、フェアではない部分もあります。保険には保障がついていますから、単純に並べることはできません。でも、「お金を増やす」という一点だけで見れば、保険がその道具として向いていないことは、はっきりわかりました。
教育費は、子どもが生まれてから大学まで、18年前後の時間があります。長期投資と、これほど相性の良いお金は、むしろ珍しいくらいです。
今の僕:NISAで長期運用+現金でリスクヘッジ

妻と相談して、わが家は方針を決めました。ちょうどNISA制度が使える時期だったので、NISAを使って教育資金を運用する。折よく、学んだ結果として解約した貯蓄型保険の返戻金があったので、それを教育資金の元手として投資に回し、子どもが大学に行く頃まで、20年近く一切触らない——そう決めました。
僕が始めてからの相場は良く、いまのところ過去の平均を上回るペースで増えています。でも、これから下がる時期も必ず来ると思っています。それでも慌てないのは、「長期で見れば戻ってきた」という歴史を学んでいるから。下がったら下がったで、仕方ない。使う日まで、まだ時間があります。
ただし、投資だけに頼るのは危険です。使うまさにその瞬間に、大暴落が来ている可能性があるからです。
そこで、わが家のリスクヘッジは「現金」です。教育資金のすべてを投資に置くのではなく、すぐに使える現金もしっかり確保しておく。使う時期が来たとき、相場が悪ければ現金から出す。相場が良ければ、投資を崩して充てる。どちらからでも出せる二本立てにしておくのです。
もう一つ、計画を立てる中で気づいたことがあります。大学のお金は、一度にまとめて出ていくわけではない、ということです。入学金が数十万円、授業料が前期・後期で数十万円ずつ、県外なら仕送りが毎月十万円ほど——4年間かけて、少しずつ出ていきます。つまり、全額を入学の日に現金で用意する必要はない。この構造を知っておくだけでも、備え方の設計はずいぶん柔らかくなります。
「そもそも」を考える余白も生まれた
お金を学んで計画を立てると、不思議なことに、お金以外のことを考える余白も生まれました。
たとえば——そもそも、大学は必ず行くべきなのだろうか、ということ。
学びたいことがあるなら、行かせてあげたい。心からそう思います。一方で、「みんなが行くから」だけの進学なら、専門的な力を早くから身につけて働き始める道もあるはずです。これからは、単純な知識の価値が変わっていく時代です。手に職や専門性の価値は、むしろ上がっていくかもしれません。
答えを決めているわけではありません。決めるのは、子ども自身です。ただ、お金の準備ができているからこそ、「行く・行かない」を、お金の都合ではなく、子どもの気持ちで選ばせてあげられる。備えることの本当の価値は、案外ここにあるのかもしれません。
いつ始めても、「今日が一番早い」
「もう子どもが大きいから、今からでは遅い」と思われた方もいるかもしれません。
そんなことはないと思います。人生で一番早く始められるのは、いつだって今日です。期間が短ければ短いなりの備え方があります。できる範囲で今日から準備することで、経済的な心配は確実に減らせます。
幸い、先生という仕事は、毎月の収入が安定していて、ボーナスもある程度見通せます。無駄遣いさえしなければ、毎月きちんと貯蓄や投資に回せる。これは長期の計画と、とても相性の良い働き方です。将来いくら必要かをざっくり出して、そこから逆算して「毎月いくら貯める・いくら投資する」を決める。それだけで、漠然とした不安は「計画の途中」に変わります。
制度の変化にも、目を配っておきたいところです。たとえば高校の授業料への支援は近年大きく変わってきました。こうした制度はこれからも変化していくはずなので、使えるものはしっかり使う、という姿勢でいるのが良いと思います。
一人で考えるのが難しければ、ライフプランニングを相談できるファイナンシャルプランナーに聞いてみるのも一つです。ただし、一つだけ注意があります。保険会社や住宅会社が運営する「無料相談」のファイナンシャルプランナーは、自社の商品の提案につながりやすい仕組みになっています。無料には、無料の理由があります。相談するなら、特定の商品を売る立場にない、有料の独立したファイナンシャルプランナーを探すことをおすすめします。
もう一つ、今の時代ならではの選択肢もあります。AIに相談してみることです。ClaudeやChatGPT、Geminiといった生成AIは、家計の状況を伝えれば、教育費の見積もりや貯め方の選択肢を、何度でも、無料で、売り込みなしで一緒に考えてくれます。もちろん最終判断は自分でする必要がありますが、「考えの整理相手」としては、とても心強い存在です。大切なのは、不安なまま立ち止まらないことです。
まとめ:備えは、子どもの選択肢を守るためのもの
7年前、学資保険のパンフレットを並べて悩んでいた僕に教えてあげたいのは、こういうことです。
教育費の正体は「18年かけて準備できる、長期のお金」だということ。だから長期投資と相性が良いこと。ただし現金との二本立てで、使う日の相場に振り回されない設計にすること。そして、備えの本当の目的はお金そのものではなく、子どもが進路を選ぶ日に、お金を理由に選択肢を狭めないことだということ。
子どもの教育費に漠然とした不安を感じている先生方、まずは「教育費=学資保険」という思い込みを、一度手放してみませんか?
※本記事は僕個人の体験と考えの共有であり、特定の金融商品の推奨ではありません。投資には元本割れのリスクがあり、過去の実績は将来の成果を保証しません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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