疲れ切った日に大きな決断をしたくなる先生方、「最悪の日ルール」を作ってみませんか?

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この記事でわかること

  • 疲れのピークの日に下した判断は、なぜ間違いやすいのかということ
  • 「心の暴落」に効くのは、意志の力ではなく、平時に作っておいたルールだということ
  • 僕が実際にやっている、最悪の日を乗り切るための3つの備え

「もう無理だ」と思った夜に、決めそうになったこと

残業が月160時間を超えていた頃、疲れ切って帰った夜に、何度も思いました。「もう教員は無理だ。辞めよう」と。

いま振り返って、はっきり言えることがあります。あの夜の僕には、人生の大きな判断をする資格がなかった、ということです。

誤解しないでください。「辞める」という選択が悪いのではありません。問題は、判断そのものではなく、判断した日のコンディションです。疲労のピークにいる日の自分は、目の前の一日の絶望を、人生全体に引き伸ばして採点してしまいます。今日が最悪だから、未来も全部最悪に見える。でもそれは、事実ではなく、疲れが見せている景色でした。

左右対比の図解。同じ未来が、消耗した日にはどん底に、整った日には普通になだらかに続いて見える

転機:お金の学びが教えてくれた

このことに気づかせてくれたのは、意外にも、お金の勉強でした。

投資の世界には、有名な鉄則があります。暴落の日に、慌てて売らないこと。市場が大きく下がった日、恐怖の中で全部を投げ売りした人が、いちばん損をする。歴史が何度もそれを示しています。

そして、もうひとつ大事なことがあります。暴落の日に冷静でいられるのは、意志が強い人ではありません。「暴落が来たら、こうする」というルールを、相場が穏やかなうちに決めておいた人です。ルールがなければ、恐怖の中で頭は働かない。ルールがあれば、考えなくても、決めたとおりに動くだけで済む。

あるとき、気づきました。これは、心も同じではないか、と。

疲れやモヤモヤが積もって冷静さを失っている状態は、いわば心の中で暴落が起きている状態です。そのとき「頭で考えて正しく行動しよう」とするのは、大暴落の真っ最中に冷静な投資判断をしようとするのと同じで、そもそも無理な相談なのです。

荒れた波の中、灯台のそばに落ち着いて立つ男性

だとしたら、やることは一つです。心が晴れている日のうちに、ルールを作っておく。

僕の「最悪の日ルール」——3つの備え

① 最悪の日には、長期の判断をしない、と決めておく

いちばんシンプルで、いちばん効くルールです。疲れのピークの日に浮かんだ「辞める」「もうだめだ」という考えは、保留の箱に入れる。判断が正しいかどうかは考えません。「今日は判断しない日だ」とだけ判断する。大事な決断は、よく眠れて、心が整った日にあらためて考えます。整った日にもまだ同じ結論なら、それは本物です。

② いつも通りに戻る

最悪の日に必要なのは、特別な解決策ではありませんでした。いつも通りの一日です。

僕の場合は、朝のルーティーン——散歩、読書、そして考えごとの整理——に、ただ戻ります。熱中できる作業は不安を脇に置かせてくれますし、散歩や読書は思考をほどいてくれます。可能なら、刺激の少ない環境に身を置く時間を作ります。

ポイントは、これをその日に考えて選ぶのではない、ということです。「最悪の日は、いつものこれをやる」と決まっているから、頭が働かない日でも体が動く。ルーティーンは、平時に積み重ねておいた分だけ、最悪の日に効いてくれる貯金のようなものでした。

③ ひとりで考えない——視点を増やす

不安は、ひとりの頭の中でぐるぐる回すほど膨らみます。逆に、外に出して別の視点を通すと、急に輪郭を持って「検討できる問題」に変わります。

相手は、信頼できる人でもいいし、いまの時代ならAIも心強い相談相手です。僕は考えごとをAIに話して整理してもらうことがよくありますが、コツがひとつあります。一つの意見で決めず、複数の視点を通すことです。同じ悩みを別のAIにも聞いてみる。すると、共通して返ってくる部分が見えてきて、それが自分の中の答えの輪郭になります。

そしてもうひとつ、経験から言えることがあります。「こうする」と決まった瞬間に、不安は軽くなるということです。先が見えない苦しさの正体は、実は「何をしたらいいか分からない」こと自体にあります。根拠のある指針が一つ定まると、あとはそれに沿って動くだけになり、不安は驚くほど薄らぎます。

それでも晴れない日が続くようなら、ひとりで抱えずに、専門の人に話してみることも選択肢のひとつです。

3つの備えの一覧図。①最悪の日には長期の判断をしない ②いつも通りに戻る ③ひとりで考えない——視点を増やす

愚かな行動をしないこと

投資家のチャーリー・マンガーは、成功の秘訣をこう言っています。「賢いことをしようとするな。愚かなことをしないようにせよ」。

僕はこの言葉が、心の守り方の話でもあると思っています。そして「愚かな行動をしない」は、賢さの問題ではなく、準備の問題です。最悪の日にまともな判断ができる人はいません。できるのは、最悪の日が来る前に、ルールとルーティーンを作っておくことだけです。

僕自身、この備えに何度も助けられてきました。完璧にやりこなせているわけではありません。これからも消耗する日は来ると思います。でも、そのたびに慌てず済むように、心が晴れている今のうちに、備えをアップデートし続けたいと思っています。

疲れ切った夜に、大きな決断をしそうになっている先生方。その判断は保留の箱に入れて、まずは眠って——心が整った日のうちに、自分だけの「最悪の日ルール」を作ってみませんか?

※本記事中の投資に関する記述は一般的な情報であり、特定の金融商品の推奨ではありません。過去の実績は将来の成果を保証しません。

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